退職したので感想でも記録していこうかな

セキュリティエンジニアとして採用された某社を退職して現在3ヶ月目になります。
それに至った理由は幾つかあるのですが、とりあえず思いつく限り書いていきます。

記録の概要

  • 仕事に面白さを見出せなかった
  • 技術的な成長が臨めなかった
  • 事業内容に興味を持てなかった
  • 上への不信感が募ってきた
  • 会社の経営がヤバそうだった

仕事に面白さを見出だせなかった

そのままです。
正直最初の一週間で「あれ?なんかおかしいぞ?」と違和感を覚えていたけど、まだ試用期間ということもあり、気のせいだと思っていました。見て見ぬ振りをしていたのかもしれません。
ただ、お世辞にもエンジニアがやるような仕事かと言われると決してそうではなく・・・。

例えばウイルスバスターとかEDRで検知した際にユーザに連絡して再スキャンなり対象を削除なりしてもらうとか、新規WebサービスをWAFに登録するとかで、管理しているベンダに登録申請を投げるとか、JPCERT/CCのレポートから影響のありそうなものをピックアップして全社チャットに流すとか、そういった業務ばかりでした。

見て分かる通りですが、エンジニアでなくてもできる仕事です。
前職の顧客のIT担当者(事務形でエンジニアではない)がやっていたような業務を担当しているなと自覚すると同時に、若干の焦りが出てきました。
ただ、入社当初はまだ試用期間中だったため、まだわからないぞ、期間が終わればもっとエンジニアらしい、技術的な成長が期待できる仕事ができるかもしれない、と自身を奮い立たせていました。
そんな事あるはずがないのは百も承知でしたけどね。それでも信じていたかったんです。

いざ試用期間が終わると次に待っていたのは主に利害関係の調整役でした。
脆弱性診断をやる時にベンダと開発者の仲介や調整をするとか、各開発担当にサーバやアプリのセキュリティ管理表を記入してもらうとか、そういった事が業務の大部分を占めるようになってきました。

そしてその内に「自分は一体何をやっているんだろうか」という思いが強くなってきたわけです。
特にJPCERT/CCの注意喚起に関しては、他部署から「多すぎる」みたいなクレームが入ったようで、部長職にしか通知しないようになりました。
関連することでダイレクトチャットで理不尽な怒られが発生するなどもしましたね。
それがきっかけでメッセージを送るのが怖くなり、定時を過ぎてから送るのが習慣になったりしました。
そんな感じで心理的安全性も少し欠けた状態で辛いし、知的好奇心も満たせず、面白さもなかったです。

実際心理的安全性があまりにも欠落していたせいで、私より2ヶ月先に入社した他部署の方は、4ヶ月目で会社を去りました。
退職前に一緒にご飯に行きましたが、チームリーダーとウマが合わず、かなりしんどい思いをしていたようです。
私もそのチームリーダーとは最後まで折り合いがつきませんでした。

技術的な成長が臨めなかった

前述の通り、調整だったり資料の管理だったりが主だった業務になったため、技術に携わることがほぼほぼありませんでした。
せめてもの抵抗として、メモは全てターミナルで開いたvimで取っていたくらいでしょうか。
そもそも面接の段階ではシステムに強い人が欲しいということだったのですがね・・・。

面接時の業務説明の際も、AWSを触れて、コードリーディングもできるという話を聞いていたことから、本当に期待していたんです。
それで迎えた入社初日、驚きました。
そもそもAWSコンソールのログインアカウントがなかったのです。
会社的にも色々バタバタしていたので、いずれもらえると思っていたのですが、一向にもらえる気配がありません。
上長に聞いてみると、「申請すればいい」とのこと。え?その説明自体今聞いたんですけど?
直近の先輩からはそんな話聞いていませんでした。
後から判ったことなのですが、先輩はそもそもAWSアカウントを持っていませんでした。もちろんAWSを触ったこともなかったようです。
乾いた笑いと溜め息が出ました。

そもそもエンジニア枠で入社して上述のような説明をされていたのに権限がないということ自体がおかしいですよね。
普通は事前に付与しておくか、ないなら上長なり先輩なりが最初に案内したりするものじゃないでしょうか。
ただ、そこは企業風土とかもあって、全て個人で申請するのが当たり前だったのかもしれません。が、なんだか納得できませんでした。
入社してくる人間が遂行するであろう業務に必要な権限を割り当てるって最低限受け入れる側が実施しておくべきことではないでしょうか。

その後申請し、アカウントを手に入れましたが、まぁ特になにかやれたわけではありませんでした。
そもそもAWSはSREの領域で、やったことと言えばAWS CLIで色々情報を取ってくるとか、マネジメントコンソールで情報見るとかそんなもんでした。

てっきりCloudWatchでセキュリティ関連のログ監視をするとか、サービスのアーキテクチャが社内のセキュリティポリシに準拠してるか確認したりとか、サーバにログインしてWebサーバの設定確認したりとか、SELinuxの設定やiptablesの設定をしたりとかするのかなと思っていたのですが、全く触れませんでした。

サーバもいじれなかったですね。
唯一ログイン権限を取得できたのが、DeepSecurityのマネージャサーバでした。サービスが落ちた時にデーモンを再起動する程度しか弄りませんでしたが・・・。

また、直近の先輩は元々エンジニアではなかったのか、ターミナルの使い方もわからないような状態でした。
セキュリティ検査も、内部のサービスは診断ソフトで検査をしていたのですが、その診断ソフトも使ったことがないようでした。
なのでチュートリアルだけ一緒にやってあとは私に丸投げ。
そんな感じだったので、技術的な成長が臨めなく、絶望感がひどくありました。

事業内容に興味を持てなかった

会社のメイン事業が不動産業だったのですが、そもそもの話として事業内容に一切の興味がありませんでした。
仕事をしていく内に興味が出てくるかなと思いましたが、しばらく経過しても一向に興味が湧きません。困りました。

OYOがどうとか、Airbnbが来ているからこれからは民泊がどうとか、空き家がどんどん増えているだとかの話はよく出ていましたが、「そうなんだ」以上の感想が出てきませんでした。
ユーザ目線というのが欠落していたんですかね。結局退職まで何の興味もなく終わってしまいました。

仕事のやりがいという点でも、前項の通り技術を伸ばせる環境にないことから見出だせなかったこともあり、業務はおろか、事業にすら興味が一片もないとなると、愛社精神とかそういった類のものもないままで、自分で入社することを選んだとはいえ悲しいくらい何も感じていないことがなんだかショックでした。

上への不信感が募ってきた

元々不動産って胡散臭いイメージが強かったんですよね。今もイメージはそのままですけど。
採用面接は上長及び先輩と実施しただけだったので、役員面接がなかったんですね。
なので直接話したのは上長だけでした。
その後不祥事があって、ようやくCTOや社長の御高説を賜る機会があったのですが、ネガティブな情報を避けているように感じたり、今後の見通しがどうなっているかの言及がほとんどなかったり、なんかヘラヘラしていたりして、もう少し真面目に社員に話してほしいなという思いが不信感に繋がっていきました。

まあ単純に上場前(というか創業時)から不正が横行していたにも関わらず一切の是正措置も取らずに今日まで至ってしまっているような会社の経営陣に不信感がないはずがないじゃないですか。
その他バイトさんのリストラや、CTOが配下の部課長の大多数を自身の側近で固める、社長がいっこうに謝罪会見を開かないなど、辟易する理由はいくつかありました。
因みにCTOの息が掛かっていない部課長は早々に辞めていきました。
この辺の話は増田にでも書こうかな。

また、「この社長についていきたい!」とも思えなかったのも大きいです。
同じ部署の先輩、上長にも、ついていきたいと思える人はいませんでした。
一人だけ気の良い先輩がいて、その方には個人的にお世話になったのでまた一緒に働く機会があれば・・・とは思っているのですがね。
唯一尊敬している方が一人いましたが、その方も私と同じタイミングで辞められたので、本当に在籍する意味がなくなってしまいましたね。

 会社の経営がヤバそうだった

上でも書いていますが、会社が不祥事を起こしました。
なかなかの規模の不祥事です。本当に。
株主が憤死するレベルであり、顧客に二度と顔向けできないレベルの不祥事でした。
発覚当日はYahoo!ニュースのトップにも躍り出ましたね。

それを期に、会社のメイン事業が事実上の休止となりました。
売上の9割以上を占めていた事業なので、一気に不景気になり、至るところで予算の縮小が始まりました。
まず最初に何も考えずに導入したシステムやらソリューションやら、担当者の気まぐれや一声で導入した有償のツールやらがあったのでそれらは切り捨てられました。
最初に「便利そうだから入れた」だけで、ちゃんと稼働したこと自体がないものもありました。
財布がガッバガバだったみたいですね。まあ確かにノりにノっている時はバブル景気だったので、そんなシステムの一つや二つ導入したところで財政上痛くも痒くもなかったのでしょうが・・・。
ただ、それ以上に人件費とオフィスがクッソ高いのですよ。
人件費は基本給から高額でした。平均年収が700万超とかで、30代の方は大体これくらいもらっていたのではないでしょうか。

オフィスも一等地の超高級物件でした。
多分毎月ウン千万みたいな感じだったんじゃないですかね。
各地にも誰にも使われていないのに借りているオフィスがあったりしました。
顧客に売った土地も買い戻したりしていましたね。
もうそれらと比べるとシステムの一つ二つ削減したところで焼け石に水ですよ。
塵も積もればとは言いますが、それらで作った山よりどでかい何かが鎮座しているわけで・・・。

土地の買い戻しとかで言うと、仕事中も後ろから「賠償金が・・・」とかの話が聞こえてくるんですよね。
顧客と電話で連絡するような部署が後ろにあったのでよく聞こえてきました。
ネガティブなお金の話をすぐ後ろでされていると本当に気が滅入りますよ。経験してみてほしいです。

極めつけは私が退職した直後に希望退職者を募り始めたことです。
驚いたと同時に、そこまで切羽詰まっていたのか・・・と思いました。
他にも不祥事の件で国から怒られたり、来年には上場廃止、最悪倒産しそうな勢いだったため、辞めて正解だったかな・・・と思っています。

これからどうすんの?

7月からしばらくニートをしていました。
退職直後は晴れ晴れとした気分でしたが、活動していく内に、面接に絶望し、自身のスキルの無さに絶望し、周囲よりも転職が上手くいかないことに絶望していました。ソウルジェムが濁りまくり。
それらが原因となったのか睡眠リズムがおかしくなったりもしましたが、ようやくご縁があって2019年9月24日から別の会社でインフラエンジニアとして働くことになりました。
それはまた別の記事にでも記録として書きますかね。

まあ、前職はいい経験になりました。
色んなものが見れた気がしますし、視野も広くなった気もします。
二度と経験したくありませんけど。
反面教師として、糧にしていきたいですね。

というわけで以上です。
勢いで書いてしまったので推敲とかロクにしていません。
多少の誤字脱字や、文章の稚拙さは許してくださいな。